
株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXは強制ロスカットによって、一定以上の損失の拡大を防ぐことが法律で義務付けられており、どのような条件で強制ロスカットされるかは、それぞれのFX会社ごとでルールが定められています。
そこで今回の記事では、強制ロスカットの役割りやメリット、FX会社ごとのルールなどもあわせてわかりやすく解説していきます。
強制ロスカットの役割りとメリットとは?
強制ロスカット(またはロスカット)とは、FXトレーダーの損失を守るために、各FX会社のロスカットルールに基づいて強制的に決済されることを言います。
基本的には、証拠金維持率がFX会社が定めるルールより下回った場合に、保有している全ての通貨ペアが強制ロスカットされることになります。
例えば証拠金として10万円を預け入れ、USD/JPYの通貨ペアで1米ドルが100円の時に10,000ドルを購入したとします。
当然レバレッジを効かせていいますが、円安方向に行くであろうと予想していたものが反対に円安方向へと進んでしまいました。
購入した時にUSD/JPYは1米ドル100円でしたが95円になり、5万円の損失が生じてしまい、この時点で預け入れている証拠金の10万円に対して証拠金維持率が50%となってしまいます。
すると、FX会社ではそれ以上の損失をFXトレーダーが被らないようにと、保有している全てのポジンションを強制ロスカットさせることで、被害の拡大を防ぐ役割りとして機能させています。
上記の例はわかりやすく説明するために、細かなレート変動による証拠金の評価額などは省いていますが、いずれにしても損失の拡大を強制的に止めるための役割りであることが理解できます。
そう考えると可能性の問題でもありますが、強制ロスカットは売りのタイミング、買いのタイミングを逃して大きな被害になってしまうことを、自分の判断ではなく防ぐことができるメリットだと考えることができます。
また、強制ロスカットが発生する条件は、FX会社ごとにルールが定められているため、必ずしも証拠金の維持率が50%を下回る場合とは限りません。
そこで主なFX会社の強制ロスカットが発生する条件を、次の項目で解説してみます。
FX会社ごとに強制ロスカットのルールが違う
FXは通貨ペアの値動きによって利益を生むという点では、どのFX会社でも違いが無いと言えますが、強制ロスカットの発生条件(ロスカット・ルール)はFX会社によって大きく異なっています。
強制ロスカットが発生する条件によっては、少しの為替レートの値動きによって強制ロスカット対象となってしまうこともあります。
これから利用しようと思っているFX会社や、現在の運用で利用しているFX会社のQ&Aにロスカットについての説明がされているはずですのでチェックをしておくと良いでしょう。
また、主なFX会社が設定している強制ロスカット・ルールは以下のようにまとめてみましたので、あくまでもこちらは参考に留め、公式の見解は随時FX会社のオフィシャルサイトでチェックするようにしてください。
主なFX会社のロスカット・ルール
- 外為どっとコム:証拠金維持率100%以下
- みんなのFX:証拠金維持率が100%以下
- ヒロセ通商【LION FX】:証拠金維持率100%未満
- JFX:証拠金維持率100%未満
- サクソバンク証券:証拠金維持率100%に達した時
- FXプライムbyGMO:証拠金維持率80%を下回っていた場合
- YJFX!:証拠金維持率が50%を下回った時
- SBI FXTRADE:証拠金維持率が50%を下回った場合
- GMOクリック証券:証拠金維持率50%以下
- DMM FX:証拠金維持率が50%以下
- マネーパートナーズ:証拠金維持率40%以下
このように、FX会社によって強制ロスカットが発生するルールは様々です。
証拠金が各FX会社が定める上記のルールを下回ると、強制ロスカットによって決済が行われます。
基本的には証拠金維持率がどの程度なのかを元に強制ロスカットが発生するため、証拠金維持率を計算できるようにしておくことで発生した理由や、発生しそうなタイミングを知ることができます。
また発生直前に自ら損切りをして、強制ロスカットよりも早いタイミングで決済することで損失を少しでも小さくすることが可能です。
以下が証拠金維持率を見出すたの基本的な方程式です。
時価評価総額(純資産額−注文証拠金)÷必要証拠金×100=証拠金維持率
実際には、証拠金維持率は上記の計算方法で算出されますので、一概に預け入れている証拠金に対して何%の保有になっているか?ということではありません。
ポジションを取るために最低限必要となる必要証拠金は、取引額に応じて変化しますので、上記の方程式を元に、ご自身が利用されているFX会社や通過ペア、為替レートなどを確認してみることをお勧めします。
強制ロスカットを避けたい場合は?
強制ロスカットはこれまで説明してきたように、FXトレーダーの思わぬ損失を防ぐ役割りがありますが、ある程度先を見据えてポジションを保有しておきたいのに、強制ロスカットによって決済されてしまうことも当然考えられます。
そういった場合には、証拠金にある程度の余裕を持たせておくことで回避することも有効的です。
そもそも証拠金に余裕が無いと、少しの為替レートの変動でも強制ロスカットが発生していまうことも考えられますが、証拠金にゆとりがあれば強制ロスカットの回避とともに、相場の回復を待ってから手動で売買することもできるようになります。
現時点での証拠金維持率を常に計算して気にしておく、というのも強制ロスカットを回避する一つの手段ではありますが、為替レートの変動で常に変化するものですから現実的ではありません。
したがって、余裕をもった証拠金と無理のないレバレッジの範囲での取引が、強制ロスカットを避ける手段として有効的だと考えられます。
また、本来であれば強制ロスカットが発生する前に損切りをすることができれば、更に損失を抑えることができますので、FXの取引としてはそちらのほうが正しく運用できていると言えるでしょう。
まとめ
強制ロスカットは証拠金以上に大きく取引ができるFXにおいて、思いがけない損失をFXトレーダーが被らないために設定されている保険のようなものです。
FXは金融商品の一種なので、余裕のある資金を運用して資産構築に役立てることが重要です。
つまり、強制ロスカットが頻繁に発生してしまうようなギリギリの取引は、そもそもあまり良い取引状況とは言えません。
思いがけない経済指標の動きによって、一瞬にして資産を失うどころが資産以上の負債を抱え込んだりしてしまわないように、金融庁が全てのFX会社にロスカットルールを遵守するように義務付けたものです。
ですから、本来であれば強制ロスカットが発生するような状況にならないよう、資金にゆとりをもって運用することが大切です。
ですが、万が一のために強制ロスカットが働き、FXトレーダーが大損害を被らないようになっていることは、FXトレーダーにとっては大きなメリットです。
FXトレーダーは、強制ロスカットは万が一の保険だと考え、発生しないように資産を運用していく心がけも大切です。