
株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXで安定して利益を得るために、勝ち方をインターネットで調べていると、「FXはゼロサムゲームで勝てない」という言葉を見たことがある人もいると思います。
ゼロサムゲームとは何のことで、FXがゼロサムゲームだった場合には本当に勝てないのでしょうか?
そこで今回は、ゼロサムゲームとは何なのか、ゼロサムゲームと言われるFXの攻略方法を解説します。
Contents
FXはゼロサムゲーム?
ゼロサムゲームとはそもそも何なのでしょうか?
例えば、4人でサイコロを振って、大きな数字が出た人を勝ちとします。
最初に全員500点の持ち点があって、負けた人は勝った人に100点渡すというルールです。
このゲームでは全員に配られている持ち点の合計が変わることはないため、誰かが勝つと必ず誰かが負けます。
このように、誰かが勝つと必ず誰かが負けるようなゲームをゼロサムゲームと呼びます。
FXの取引では、いずれかの通貨ペアが上がれば、相対関係にある通貨ペアが下がるため、上記のようなゼロサムゲームの1つであると言われています。
ゼロサムゲームの状況では、機関投資家やヘッジファンドなどを相手に戦うことになるため、FXの知識や経験が少ない初心者が勝つのは困難です。
では、資産運用の中でFXに並んで人気のある株式投資もゼロサムゲームなのでしょうか?
株式投資はゼロサムゲームではない
株式投資はゼロサムゲームではないと言われています。
会社は設立してから売上の増加を目指して業務に取り組むため、長期的な目線で株価変動を見ると、株価変動は右肩上がりになりやすいと言えます。
景気が良く、株価が順調に右肩上がりになっている状況では、基本的に全てのトレーダーが利益を出すことが可能です。
ゼロサムゲームでは、利益と損失の合計がゼロになりますが、このような右肩上がりの状況では、利益が上回る可能性が高いため、株式投資はプラスサムゲームとも呼ばれています。
株式投資の方がFXよりもリスクが低いように思えるかもしれませんが、そのようなことはありません。
会社の業績が良くなく、会社が破綻した場合は株価が0になってしまうというFXとは異なるリスクを伴っているので注意が必要です。
ゼロサムゲームではない部分もある
ゼロサムゲームでは、誰かが勝てば誰かが必ず負けるため、機関投資家やヘッジファンドを相手に戦うことになると、FXの知識や経験が少ない初心者が勝つのは不利です。
しかし、いくら不利だと言っても、勝てないわけではありません。
その理由は、ゼロサムゲームではない一面があるためです。
FXのトレーダーは、基本的に取引によって利益を得ることを目的としていますが、利益を得ることを目的としていない人たちも取引を行っています。
例えば以下のような人たちによる取引です。
- 実需筋による取引
- 政府による為替介入
どのような人たちなのか詳しく見ていきましょう。
実需筋による取引
実需筋とは、日本国内ではなく海外との取引を行っているような会社のことです。
これらの実需筋は、取引で支払いが生じた場合に取引先の国の通貨で支払わなくてはならないため、支払時期が近づくと通貨を調達します。通貨を調達するということは、通貨の価格を上げる要因です。
このような実需筋による取引は、通貨高といったように実需筋にとっては不利な状況でも継続的に行われます。
実需筋は損を負ってでも取引してくれるため、FX初心者が勝つには必ずしも不利な状況とは言えないでしょう。
政府による為替介入
為替介入とは、財務大臣の権限において、為替相場の急な変動を抑えて安定化を図ることを目的として行われる為替操作です。
円安に為替変動が生じるということは、海外への輸出が多い会社の売上が増えることになるため、日経平均株価を上げるプラス材料です。
そのため、円高進行で日経平均株価が下がっている状況では、日経平均株価を上げるために政府が円売りの為替介入を行って強制的に円安に誘導します。
このような政府による為替介入も、為替差益を得るために行われるものではなく、損を負ってでも介入が行われます。
為替差益で利益を得ることを目的としているトレーダーや、機関投資家とヘッジファンドの利益と損失を合算してもゼロサムにはなりません。
そのため、FXは必ずゼロサムゲームになるとは言えないでしょう。
ゼロサムゲームの攻略方法
FXの取引が必ずしもゼロサムゲームにはならないと言っても、誰かが勝てば誰かが負けるという構図に変わりはありません。
そのため、機関投資家やヘッジファンドを相手に戦って勝つには、勝つための戦略をしっかり練る必要があります。
ゼロサムゲームの攻略方法には以下の3つが挙げられます。
- テクニカル分析を駆使する
- ファンダメンタルズ分析を駆使する
- 損切りの徹底
それぞれの攻略方法について詳しく見ていきましょう。
テクニカル分析を駆使する
テクニカル分析とは、チャートを見ながら次にどんな為替変動が生じるか、トレーダーの心理状態はどうなっているか読み解きながら為替変動を予想する分析手法です。
機関投資家やヘッジファンドなどもこれらのテクニカル分析を駆使して取引しているため、次に機関投資家やヘッジファンドがどんな戦略を練るか予想できれば勝率を高められます。
しかし、テクニカル分析と一口に言っても、その種類は100を超えています。
機関投資家やヘッジファンドなどがどのような手法を用いているのか、また自分にとってどの手法が使いやすいのかよく考えてから取り入れることが重要と言えるでしょう。
ファンダメンタルズ分析を駆使する
ファンダメンタルズ分析とは、国の経済情勢や世界情勢などからどんな為替変動が生じるか為替変動を予想する分析手法です。
例えば、通貨を発行している国の雇用統計の結果が良い場合には、景気が良いと判断されて通貨が買われます。
また、テロによって地政学的リスクが高まった場合には、リスクの低い通貨が買われます。
日経平均株価の推移を確認していれば、為替介入が行われるタイミングもつかめるようになるでしょう。
損切りの徹底
トレードで最も重要なことは「損小利大」を心がけることです。
損小利大とは、損失を最小限に抑えることで利益を最大限に得るという取引のルールです。
例えば、1回の利益が1万円、1回の損失が3万円の勝率70%のトレーダーが10回取引をします。
7回の成功で7万円利益を得ても、3回の失敗で9万円の損失が生じれば、いくら勝率が70%でも負けてしまいます。
一方、1回の利益が3万円、1回の損失が1万円の勝率30%のトレーダーが10回取引をすればどうなるでしょうか?
7回の失敗で7万円損失を出していても、3回の成功で9万円の利益を得ているため、勝率30%でも十分にトータルで勝つことが可能です。
このように、FXではいかに損切りを徹底できるかが重要であるため、エントリー前にどのタイミングで損切りするかをしっかりと決めておくことが必要不可欠と言えるでしょう。
まとめ
FXは、誰かが勝つと必ず誰かが負けるゼロサムゲームだと言われています。
機関投資家やヘッジファンドを相手に戦わなくてはならないため、FXの知識や経験が少ない初心者には不利な状況と言えます。
しかし、実需筋による取引や政府による為替介入など、利益を得ることを目的としていない取引も行われるため、必ずしも初心者にとって不利な状況とは言えません。
とは言っても、誰かが勝てば誰かが負けることに変わりはないため、テクニカル分析・ファンダメンタルズ分析を駆使する、損切りを徹底するなど、勝てる戦略を練ってから取引を行いましょう。