株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXを既に始めている人やこれから始めようとしている人の中には、国内FX業者と海外FX業者にどのような違いがあるのか気になっている人も多いのではないでしょうか?
国内FX業者には国内のルールが適用される一方で、海外FX業者にはそれらが適用されないため、自由度が高いもののリスクも高くなるので注意が必要です。
そこで今回は、海外FX業者で取引するリスクについて解説します。
Contents
海外FX業者で取引するリスクとは
日本国内に拠点があるFX業者は金融庁の認可を受けたFX業者であるため、国内ルールが適用されています。
主な国内ルールは、信託保全が義務化されている、レバレッジ上限が25倍に設定されているなどです。
これらのルールが適用されていることによって、FX初心者でも安心して取引できる環境が整っていると言えます。
海外FX業者は、海外に拠点があるFX業者のことです。
日本にも拠点がある場合は金融庁の許可を得ている可能性がありますが、海外に拠点がある場合のほとんどは国内ルールが適用されていないFX業者です。
国内ルールが適用されないことには、何かリスクがあるのでしょうか?
海外FX業者を使った場合の主なリスクは以下の7つです。
- 急に取引中止になる可能性がある
- 出金できない可能性がある
- 信託保全が義務ではない
- 日本語対応がない業者が多い
- ハイレバレッジ
- スプレッドが広い
- 出金手数料が高い
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
急に取引中止になる可能性がある
1つ目のリスクは、急に取引中止になる可能性があることです。
現在は、日本人でも海外FX業者で口座を開設して取引できます。
しかし、本来は、海外FX業者が日本人を対象としてサービスを提供する場合には、金融庁の正式なライセンスを有している必要があります。
FXをしている人の中には、XM、TitanFX、AXIORYといった海外FX業者で口座を開設して取引している人も多いと思いますが、これら3社は金融庁から警告を受けています。
現在、これらの3社は日本人でも口座を開設して取引できますが、急に「日本在住の方の取引を停止します」と取引を中止される可能性があります。
そうなった場合は、決済や出金に期限が設けられて大きな損失を抱える可能性もあるので十分に注意しましょう。
出金できない可能性がある
2つ目のリスクは、出金できない可能性があることです。
金融庁の許可を得た国内FX業者は、信頼性が高いので出金できないことはほぼないと言えますが、海外FX業者の中には実態がよく分からない詐欺業者も多いので注意が必要です。
海外FX業者で取引している人の経験談などを見ると、利益を取引利益から急に消去された、口座凍結された、出金拒否されたというケースがいくつかあります。
国内FX業者の場合は保護される可能性がありますが、海外FX業者の場合は法的手段をとっても時間がかかる、最悪のケースでは保護されない可能性もあるため、十分に注意しましょう。
信託保全が義務ではない
3つ目のリスクは、信託保全が義務ではないことです。
信託保全とは、FX業者の経営資産は通常の銀行、顧客の資産は信託銀行にそれぞれ預けることです。
顧客の資産は、外部監査機構がチェックしているため、FX業者は手を付けられません。
そのため、FX業者が万が一経営破綻しても顧客の資産は保護されます。
金融庁の許可を受けている国内FX業者は、信託保全が義務となっているので安心ですが、海外FX業者は、信託保全が義務ではありません。
信託保全が義務ではない海外FX業者が万が一経営破綻した場合は、業者の資産と顧客の資産が混同されて回収できない可能性があります。
海外FX業者の破綻とともに、自分の資産を失ってしまう可能性があるので十分に注意しましょう。
日本語対応がない業者が多い
4つ目のリスクは、日本語対応がない業者が多いことです。
金融庁の許可を受けている国内FX業者は、日本人向けにサービスを提供しているので日本語対応が当たり前です。
しかし、海外FX業者は、日本人向けにサービスを提供している訳ではなく、日本人もサービスを利用できるという感覚であるため、日本語対応がない業者が多いと言えます。
大手の海外FX業者の中には、ホームページが日本語対応しているだけでなく、日本語での問い合わせにも対応しているところもあります。
しかし、ほとんどの海外FX業者は日本語対応しておらず、何らかのトラブルが生じてもきちんとした対応を受けられない可能性があるため、十分に注意しましょう。
ハイレバレッジ
5つ目のリスクは、ハイレバレッジであることです。
金融庁の許可を受けた国内FX業者は、レバレッジの上限が25倍に設定されており、FXをしている人が大きな損失を抱えることがないようにしています。
しかし、海外FX業者はこの金融庁のルールが適用されないため、レバレッジの上限が1,000倍に設定されている業者もあります。
レバレッジが高いということは、少額からの運用が可能になる、利益が大きくなることがメリットとして挙げられます。
しかし、裏を返すと、損失も大きくなることがデメリットとして挙げられます。
自分の予想とは少し異なる変動が生じただけでも、強制決済による大幅な損失を抱えてしまう可能性があるので十分に注意しましょう。
スプレッドが広い
6つ目のリスクは、スプレッドが広いことです。
スプレッドとは、「買い」と「売り」の差のことで、FX業者の手数料のようなものです。
そのため、FX業者ごとにスプレッドの設定は異なりますが、日本国内ではそこまで大きな差はありません。
例えば、国内FX業者の米ドルのスプレッドは0.3銭(30円)程度ですが、海外FX業者の米ドルのスプレッドは1.0銭(100円)程度です。
数多くの海外FX業者があるため、低いスプレッドで取引できるところもありますが、スプレッドが高いとマイナスを多く抱えた状態で取引を始めることになるので十分に注意しましょう。
出金手数料が高い
7つ目のリスクは、出金手数料が高いことです。
国内FX業者は、入金がすぐ反映されるほか手数料無料で入出金できるのが一般的です。
一方、海外FX業者は、入金が反映されるまで時間がかかる、出金に3,000円~5,000円の手数料がかかると言われています。
クレジットカードや仮想通貨を利用した入出金に対応している海外FX業者もありますが、仕組みが複雑で使いこなすまでに時間がかかります。
一般的な銀行を利用した入出金は、確実に入手金できる一方で、着金までに1週間かかるケースもあるため、逆算して出金を依頼しましょう。
海外FX業者が「悪」というわけではない
国内FX業者で取引するよりも海外FX業者で取引する方が多くのリスクを抱えていますが、海外FX業者の全て「悪」というわけではありません。
海外FX業者の中には、信託保全をしている、スプレッドが狭い、日本語に対応している業者もあります。
また、ハイレバレッジに対しては「ゼロカットシステム」を導入している業者もあります。
ゼロカットシステムとは、証拠金以上の損失が生じないように、証拠金と損実が同じ額になった時に強制決済する仕組みです。
ゼロカットシステムを導入しているFX業者では、ハイレバレッジでも口座に入金した自己資金以上の損失が生じることはないため、安心して取引できるでしょう。
まとめ
海外FX業者の中には、入金ボーナスを提供している、ハイレバレッジで取引できる業者も多いため、海外FX業者での取引に興味を持っている人も多いでしょう。
しかし、海外FX業者は、急に取引中止になる可能性がある、出金できない可能性があるといったリスクを伴うので十分に注意が必要です。
数多くの魅力がある海外FX業者ですが、金融庁は日本人が海外FX業者で口座を開設して取引することを良しとしているわけではありません。
金融庁が警告している海外FX業者も多く、急に取引中止になる可能性もあるため、海外FX業者で取引する場合にはそのようなリスクを抱えながら取引しているということを忘れないようにしましょう。