株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
会社から支払われる給料が課税されるのと同様に、FXの利益も課税されます。
FXの利益に対する税率は一律20.315%なので、「2割も取られるのであれば、申告しないでおこう」と考えたことがある人もいると思います。
しかし、確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告しないままでいると、脱税によるペナルティが課されるので注意が必要です。
そこで今回は、FXでの脱税を防ぐために、確定申告が必要になる条件を分かりやすく解説します。
Contents
FXの脱税に注意?
「FXの取引で利益を得たものの、せっかく苦労して得た利益から2割も税金が取られたくない」という理由で確定申告せずにそのままスルーしようとしている人もいるのではないでしょうか?
しかし、FXの取引で利益が出ている場合は、利益の額によっては確定申告が必須で、確定申告をしないと脱税によるペナルティが課されるので注意が必要です。
確定申告を行うと税金は課されますが、全てに対して税金が課されるわけではありません。
例えば、取引するにあたって購入したパソコンやスマホ、機材やツール、ネット代や電気代などを経費に計上できます。
また、損失が生じている場合でも、確定申告をすれば繰り越し控除によって翌年の利益から損失を差し引くことができるため、確定申告を行った方が良いと言えます。
では、確定申告を必要になるのは、どのようなケースなのでしょうか?
会社員と専業主婦の2つのパターンに分けて詳しく見ていきましょう。
確定申告が必要なケース(会社員編)
主たる収入がある会社員や自営業の人は、FXの収入が年間20万円を超える場合は、納税が必要とされています。
一方、FXの収入が年間20万円以下またはマイナスの場合には、納税の必要はないとされています。
しかし、先ほども触れたように、マイナスの場合でも確定申告をすることで繰り越し控除によって翌年以降の利益を圧縮できるので、確定申告を行うようにしましょう。
確定申告が必要なケース(専業主婦編)
主たる収入がない人や専業主婦は、FXの収入が年間38万円を超える場合は、納税が必要になります。
一方、FXの収入が年間38万円以下またはマイナスの場合には、納税の必要はないとされています。
ただし、こちらのケースでは38万円を超えることで所得税が発生するだけでなく、配偶者控除も受けられないので注意が必要です。
その結果、夫の所得税が増えることになるので、超えないように十分に注意しましょう。
脱税で課されるペナルティ
確定申告を行わなかったことによって、脱税に該当した場合には、どのようなペナルティが課されるのでしょうか?
FXの脱税によって課される主なペナルティは以下の4つです。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 重加算税
- 延滞税
それぞれのペナルティについて詳しく見ていきましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、申告期限内に確定申告を行っていてものの、実際に納税すべき金額と比べて、少なく申告していた場合に課されるペナルティです。
税率は原則10%と決まっていますが、期限内に申告した税額または50万円のうちいずれか多い方を超える部分については15%で課税されます。
税務署から事前通知が届く前に修正申告を行った場合には、加算税の対象にはなりません。
通知から調査終了までに修正申告を行った場合には10%が5%に、調査終了後は15%が10%にそれぞれ5%軽減されます。
無申告加算税
無申告加算税とは、確定申告の期限内(3月15日まで)に確定申告を行わなかった場合に課されるペナルティです。
税率は原則15%と決まっていますが、期限内に申告した税額または50万円のうちいずれか多い方を超える部分については20%で課税されます。
しかし、過去5年以内に同様の理由で無申告加算税を課されている場合は20%が25%に、25%が30%に引き上げられるので注意が必要です。
また、税務署から事前通知が届く前に修正申告を行った場合は15%が5%に、通知から調査終了までに修正申告を行った場合は15%が10%に、調査終了後は20%が15%にそれぞれ軽減されます。
重加算税
重加算税とは、脱税に対して意図的に仮装や隠ぺいをして、無申告や過少申告を行った時に課されるペナルティです。
悪質な脱税と判断されるため、他のペナルティと比べて加算税の税率が高いという特徴があります。
悪質な過少申告加算の場合は35%、悪質な無申告加算の場合は40%の加算税となります。
無申告加算税と同様、過去5年以内に同様の理由で重加算税を課されている場合はさらに10%が上乗せされるので注意が必要です。
延滞税
加算税とは、それぞれのペナルティに対して本来の税金に加算される税金ですが、それとは別に延滞税と呼ばれるペナルティもあります。
延滞税とは、本来の支払い期限を過ぎた税金に対してかかる延滞金のことで、完納するまで加算され続けるので注意が必要です。
確定申告を行わなかったことが原因で、本来は支払えるような金額だったにもかかわらず、時間の経過とともに税金が膨らんで支払えなくなる可能性があります。
そのような事態に陥らないためにも、しっかり確定申告を行いましょう。
罰金や懲役が科される可能性も
脱税へのペナルティは、過少申告加算税や無申告加算税といった加算税と延滞税だけだと思っている人もいるのではないでしょうか?
しかし、脱税へのペナルティはこれだけではありません。
脱税に対する刑事罰として、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
脱税をした翌年に税務署から連絡がこないからといって安心してはいけません。
延滞税で税額がある程度大きくなった3年後に税務署から連絡がくることもあります。
忘れた頃に税務署から連絡がきて、手元に資金がなく加算税をすぐに支払えないケースも多いので、注意が必要です。
さらには差し押さえに発展する可能性も
忘れた頃に税務署から連絡がきたものの、手元に資金がなく加算税をすぐに支払えなくて、無視していた場合にはどうなるのでしょうか?
税務署からの連絡を無視すると、税務署から督促状が届きます。
それをさらに無視すると、財産差し押さえに向けて財産調査が行われます。
差し押さえの対象は、現金や不動産、自動車といった換金できるもの全てです。
財産調査が完了すると、差し押さえ通知書と差し押さえ予告書が届きます。
差し押さえ予告書が届くと、差し押さえの強制執行に移ることで、自分の大切なものを全て失ってしまうことになります。
「確定申告の手続きに手間がかかるので嫌」「確定申告でせっかくの利益を取られるのが嫌」といった理由で確定申告を行わない人もいると思います。
しかし、最終的には大きな問題に発展する可能性もあるため、必ず確定申告を行いましょう。
まとめ
会社から受け取る給料は、源泉徴収によって既に税金が差し引かれているため、特に理由がなければ確定申告を行わなくても問題ありません。
しかし、FXを副業として行っている人の場合は、その利益の大きさによっては確定申告が必要になるので注意が必要です。
確定申告を行う必要があるにもかかわらず、行わないまま放置していると脱税に該当して加算税や延滞税などのペナルティを課されることになります。
また、脱税が悪質だった場合には、刑事罰として罰金や懲役が科される可能性もあります。
税務署からの通知を無視していると、今度は財産を差し押さえられてしまい、大切なものを失ってしまう可能性も。
それらを防ぐためにも、FXの利益の有無に関係なく、毎年必ず確定申告を行いましょう。