
株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
不動産投資は不動産会社といった専門家に管理を委託できるほか、投資信託は資産運用のプロに代わりに運用してもらうことができます。
一方、FXは自動売買を除いて自分で運用しなくてはならないため、数多くある専門用語を覚えなければなりません。
専門用語の1つに「雲」がありますが、雲とは何を意味するのでしょうか?
そこで今回は、FXの雲とは何のことなのか、雲について分かりやすく解説します。
Contents
FXの雲とは何のこと?
FXには数多くの専門用語があるため、FXのトレードを始めるには、まずは専門用語を身に付ける必要があります。
「雲」と呼ばれる言葉も専門用語の1つですが、雲という言葉の意味を理解する前に、雲が一体何に使われる言葉なのかを理解することが重要です。
FXでは、次に生じる為替変動を予想しながら取引することによって差益を得ます。
しかし、次に生じる為替変動を予想すると言っても、為替変動は様々な要因に重なって生じるため、予想するのは容易ではありません。
そこで登場するのがファンダメンタルズ分析とテクニカル分析です。
ファンダメンタルズ分析では、通貨を発行する国の経済情勢や国際情勢などから次の為替変動を予想します。
一方、テクニカル分析では、過去の為替変動を見ながら次に生じる為替変動を予想します。
雲とはテクニカル分析の1つの一目均衡表で登場するものです。
一目均衡表とは何なのでしょうか?
一目均衡表とは?
テクニカル分析の手法は、専門家によってこれまでに数多く生み出されています。
基本的に海外の専門家が生み出していますが、一目均衡表は1936年に細田悟一さんという日本人が生み出したテクニカル分析です。
一目均衡表には、以下の5つの線が登場します。
- 基準線:過去26日間のローソク足の高値と安値の平均値
- 転換線:過去9日間のローソク足の高値と安値の平均値
- 先行スパン1:当日の転換線と基準線の中間値を26日先に記入したもの
- 先行スパン2:過去52日間のローソク足の高値と安値の平均値を26日先に記入したもの
- 遅行スパン:当日の終値を26日前に記入したもの
説明を見ただけで、「FXの知識や経験の少ない初心者には難しいな」と感じた人もいるかもしれませんが、この線は一目均衡表を選択すれば自動的に書き込まれるため、難しく考える必要はありません。
また、一目均衡表は、チャート上に描かれる雲を見るだけでも、エントリーのタイミングを判断できる手軽さがあり、世界中のトレーダーに愛用されています。
続いて、一目均衡表の雲について見ていきましょう。
雲は先行スパンに囲まれた部分
一目均衡表には先行スパン1と先行スパン2の線がありましたが、この線に囲まれている部分が雲です。
雲は抵抗線や支持線を表しており、雲が厚い場合はそれだけ抵抗や支持があることを意味します。
一方、雲が薄い場合はあまり抵抗や支持があっても、突き抜けやすいと言えます。
例えば、上に雲がある状況で雲の下から上にローソク足が突き抜けた場合、下降トレンドが上昇トレンドに切り替わったことを意味するため、買いでエントリーするのが一般的です。
このように、一目均衡表に表示される雲は、厚い雲の場合には跳ね返される可能性が高く、薄い場合には突き抜けてトレンド転換する可能性が高いと判断できるため、エントリーのタイミングや方向を決めやすくなるでしょう。
一目均衡表を使ったトレード方法
一目均衡表の雲を確認するだけでも、エントリーのタイミングや方向を決めやすいですが、一目均衡表から分かることはそれだけではありません。
一目均衡表を使ったトレード方法として以下の5つのタイミングが挙げられます。
- ローソク足が転換線を抜けた
- 遅行スパンがローソク足を抜けた
- 転換線が基準線を抜いた
- 基準線と転換線が上昇・下降した
- 転換線が基準線よりも上・下にある
それぞれのトレード方法について詳しく解説します。
ローソク足が転換線を抜けた
ローソク足が転換線とクロスした場合は、トレンドが転換すると言われています。
そのため、ローソク足が転換線を抜けたタイミングを狙ってエントリーするのが1つのポイントです。
転換線を抜けるタイミングは下から上、上から下の大きく2つに分かれます。
ローソク足が転換線を下から上に抜いた場合は上昇トレンドと判断できるため、買いでのエントリーとなります。
一方で、ローソク足が転換線を上から下に抜いた場合には下降トレンドと判断できるため、売りでのエントリーです。
抜けた方向にエントリーするだけなので簡単にエントリーできますが、線の数が多いので間違わないように注意しましょう。
遅行スパンがローソク足を抜けた
ローソク足が転換線を抜けた時と同様、遅行スパンがローソク足を抜けた時もトレンドが転換したと判断できます。
判断方法もローソク足と転換線のケースと同様で、ローソク足が遅行スパンを下から上に抜いた場合は上昇トレンドと判断できるため、買いでのエントリーとなります。
一方で、ローソク足が遅行スパンを上から下に抜いた場合には下降トレンドと判断できるため、売りでのエントリーです。
しっかり抜けたことを確認してからエントリーしましょう。
転換線が基準線を抜いた
転換線と基準線がクロスした場合には、移動平均線の分析手法で用いるゴールデンクロス、デッドクロスが生じたと判断できます。
転換線が基準線を下から上に抜けた時はゴールデンクロスが生じたので買いエントリー、転換線が基準線を上から下に抜けた時はデッドクロスが生じたので売りエントリーです。
このエントリー方法で重要になってくるのが、転換線と基準線のどちらが上から下、下から上に抜けたかを間違わないことです。
条件を満たしているのかを確認してからエントリーしましょう。
基準線と転換線が上昇・下降した
転換線が基準線をクロスした場合には、ゴールデンクロスやデッドクロスが生じていると言いましたが、基準線と転換線がクロスせずに併走することもあります。
例えば、基準線と転換線の両方が上昇している場合は強気シグナルなので、上昇トレンドと判断して買いでのエントリーです。
一方で、基準線と転換線の両方が下降している場合は弱気シグナルなので、下降トレンドと判断して売りでのエントリーです。
クロスするだけでなく、併走の場合にもエントリーの判断材料になるのでしっかり覚えておきましょう。
転換線が基準線よりも上・下にある
転換線と基準線からエントリーを判断する方法はもう1つあります。
転換線が基準線より下にある場合は強気シグナルなので、上昇トレンドと判断して買いでのエントリーです。
一方で、転換線が基準線より上にある場合は弱気シグナルなので、下降トレンドと判断して売りでのエントリーです。
一目均衡表は、雲からエントリーのタイミングを探るトレーダーも多いですが、このように基準線や転換線、遅行スパンなどからもエントリーのタイミングを探ることもできるため、しっかり理解することをおすすめします。
まとめ
雲とは、一目均衡表と呼ばれる細田悟一という日本人が作ったテクニカル分析に登場するものです。
一目均衡表に表示される雲から、抵抗や支持を読み解れるため、エントリーを判断する際の1つの指標になります。
また、一目均衡表では、表示される線の状況を見極めれば、上昇トレンドや下降トレンドを見抜くことも可能です。
日本人が作ったので「日本人には使いやすい」と考えるかもしれませんが、一目均衡表には数多くの線が表示されているため、慣れるまでに時間がかかります。
しっかり理解してから使い始めることをおすすめします。