
株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
日本のFX会社は金融庁によってレバレッジが最大25倍という制限が設けられています。
そのため、資金の最大25倍までしか取引できません。
しかし、海外のFX会社は金融庁が関与しておらず、レバレッジの上限が適用されないのでより高いレバレッジで取引できます。
故に、海外のFX会社で取引したいと考える人も多いと思いますが、海外口座の税金はどうなるのでしょうか?
そこで今回は、FXの海外口座の税金について分かりやすく解説します。
Contents
日本に住んでいる限りは海外口座でも税金を納める必要がある
日本のFX会社はレバレッジ25倍が最大となっており、それ以上に引き上げて取引することはできません。
一方、海外のFX会社は金融庁の管轄外であるため、レバレッジの上限が適用されません。
そのため、海外口座の中には最大レバレッジが100倍を超えているものも多く、資金効率が良いという理由で海外口座を開設する人が多くいます。
しかし、海外口座だから税金を納めなくて良いという問題ではなく、取引をしている人が日本に住んでいる場合は日本の税制が適用されるため、海外口座であっても一定の利益が生じている場合は税金を納める必要があります。
では、国内口座と海外口座では、取引で得られた利益に対する税金が異なるのでしょうか?
海外口座の税金は国内口座の税金よりも高い
海外口座で得られた利益も国内口座で得られた利益も、どちらも雑所得として扱われます。
「同じ雑所得として扱われるのであれば、税金も変わらないのでは?」と考えた人も多いと思いますが、同じ雑所得でも課税方法が以下のように異なります。
- 国内口座は申告分離課税を適用
- 海外口座は総合分離課税を適用
それぞれの課税方法の違いについて詳しく見ていきましょう。
国内口座は申告分離課税を適用
国内口座の取引で生じた利益に対しては、申告分離課税が適用されます。
申告分離課税とは、雑所得の中でもFXの取引によって生じた利益には、FX専用の税率が適用されるというものです。
申告分離課税の税率は、所得税15%に住民税5%加えた20%です。
ただし、2037年までは特別復興所得税として所得税に2.1%加算されるため、20.315%の税率が適用されます。
仮に国内口座で100万円の利益が生じた場合には、20万3,150円の税金が徴収されます。
一方、10倍の1,000万円の利益が生じた場合には、単純に10倍の203万1,500円の税金が徴収されるため、利益の大小による差はありません。
給与所得に適用されるのが累進課税と呼ばれる所得の大小によって税率が変動するようになっていることを考えると、国内口座は多くの利益を出すほどお得と言えるでしょう。
海外口座は総合課税を適用
海外口座の取引で生じた利益に対しては、総合課税が適用されます。
総合課税とは、雑所得だけではなく、利子所得や配当所得、給与所得や不動所得などの他の所得と合算して税率を決めるものです。
総合課税の場合は、所得の大小に応じて税率が変化する累進課税が適用されています。
累進課税の税率は以下の通りです。
- 195万円以下:5%
- 195万円超330万円以下:10%
- 330万円超695万円以下:20%
- 695万円超900万円以下:23%
- 900万円超1,800万円以下:33%
- 1,800万円超4,000万円以下:40%
- 4,000万円超:45%
上記はあくまでも所得税だけの税率で、住民税は上記に10%をさらに加算します。
また、申告分離課税の場合と同様、特別復興所得税として2.1%が加算されます。
副業として海外口座でFXをしている場合は、給与所得にさらに海外口座でのFXの利益が上乗せされて税率が高くなるので注意が必要です。
海外口座の注意点
海外口座には、日本口座のようにレバレッジの上限が適用されないため、少額でも効率良く資金を増やすことができます。
また、海外口座には、取引に応じたボーナスポイントを受け取れる、ゼロカットシステムが採用されていて証拠金以上の損失が生じないなどの魅力もあります。
しかし、海外口座の場合には、以下の3つの点に注意が必要です。
- 利益が少ない場合は国内口座よりも税金が少ない
- 損益通算ができない
- 損失の繰り越しができない
それぞれの注意点について詳しく解説します。
利益が少ない場合は国内口座よりも税金が少ない
国内口座の税率は、利益に対して一律20%となっています。
一方で、海外口座の税率は、所得によって異なり、195万円以下では国内口座よりも低く、195万円超330万円以下では同じ税率です。
しかし、海外口座は総合課税で、同じ税率と言っても控除が適用され、330万円以下までは海外口座の方が国内口座よりも税金が少なくなります。
専業のトレーダーの場合は問題ありませんが、副業としてトレードをしている人の場合は給与所得といった他の所得が合算されるので税率が高くなります。
そのため、FXを始める際には、国内口座と海外口座の使いやすさを比較するだけでなく、税金についても比較した上でどちらを選ぶか決めた方が良いと言えるでしょう。
損益通算ができない
損益通算とは、一方で利益が生じていて、他方で損失が生じている場合に、損益を合算して税金を決める方法です。
例えば、Aという国内口座とBという国内口座で取引をして、Aで利益、Bで損失が生じた場合には損益通算できます。
Aが海外口座、Bが海外口座でも同様です。
しかし、Aという国内口座とBという海外口座間で損益通算を行うことはできません。
国内口座間で損益通算、海外口座間で損益通算といったように、それぞれで損益通算ができても異なる口座間ではできないので注意が必要です。
損失の繰り越しができない
国内口座の場合には、1年目に100万円の損失が生じて2年目に30万円の利益、3年目に50万円の利益が生じても、1年目の損失を2年目や3年目に繰り越せます。
そのため、上記のケースでは、2年目の30万円、3年目の50万円の利益に対しては税金が課されることはありません。
しかし、海外口座の場合は、総合課税は1年で決済が完結するため、損失を繰り越すことができません。
そのため、上記のケースでは、2年目の30万円、3年目の50万円の利益にそれぞれ税金が課されてしまうことが大きなデメリットと言えるでしょう。
まとめ
FXの海外口座の場合は、レバレッジの上限が適用されないため、少額でも効率良く資産を増やすことができる、ゼロカットシステムによって証拠金以上の損失が生じないといったメリットがあります。
確かに海外口座は国内口座よりもメリットが多いですが、税金面ではデメリットが多いので注意が必要です。
国内口座は申告分離課税なので利益が生じた場合における税率が一律ですが、海外口座は総合課税なので所得に応じて税率が変動します。
海外口座の場合は、得られた利益によっては大きな税金を課せられるので注意しましょう。