
株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
リーマンショックを始め、世界情勢が原因で発生するのが大暴落です。
こうした大暴落を受けて改めてリスクヘッジの大切さを感じることもあるでしょう。
FXは手軽に取り組める一方で、元本保証のないリスクの高い運用方法でもあります。
つまり、リスクヘッジを必ず行わなければ安定した利益を得続けることはできません。
そこで今回は、FXにはどんなリスクがあるか、またどんなリスクヘッジがあるかを詳しく解説します。
Contents
FXではリスクヘッジが重要
FXは、各国が発行している通貨の為替変動を予想して取引することで差益を得る運用方法です。
株式は1日に数%値動きするのが一般的ですが、FXは数%値動きすることは珍しく、ほとんど数%以内の変動に収まるのが一般的です。
しかし、レバレッジという自己資金以上に取引できる仕組みによって、値動きが小さい分を補うことが可能です。
また、土日を除いて24時間取引できるため、人気のある資産運用として注目されています。
資産運用は、元本保証がある方法とない方法の大きく2つに分類されます。
銀行預金は元本保証がありますが、株式やFXなどは元本保証がありません。
元本保証がないということは、元本割れする可能性があるため、リスクの高い運用方法と言えるでしょう。
FXにおける主なリスクとは、以下の5つです。
- 為替変動のリスク
- 金利変動のリスク
- レバレッジのリスク
- ロスカットのリスク
- システムトラブルのリスク
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
為替変動のリスク
1つ目のリスクは、為替変動のリスクです。
FXでは為替変動を狙った取引で差益を得るため、為替変動リスクは必ず伴います。
為替変動は、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析といった手法を駆使することで、ある程度は予想できます。
しかし、完璧に予想通りになるとは言い切れないため注意が必要です。
例えば、2019年4月の米ドルは上昇トレンドが続いていて、112円を付けた後は113円を目指すと予想されていましたが、米中の貿易戦争で112円から109円まで下落しました。
突発的なネガティブサプライズで大幅な変動が生じることもあるので注意しましょう。
金利変動のリスク
2つ目のリスクは、金利変動のリスクです。
FXでは為替変動による差益だけでなく、通貨間の金利差によるスワップポイントを継続的に得ることも可能です。
各国は金融政策の一環で通貨の金利を設定していますが、いつまでもその金利が続くとは限らないので注意が必要です。
例えば、現在の米ドルは高金利状態が続いていますが、高金利が原因で円安ドル高が進んで貿易収支に影響が出ているため、金利の引き下げがいつ行われるのか注目を集めています。
金利が引き下げられた場合は、得られるスワップポイントが少なくなるほか、ポジションを解消する人の増加で為替変動に影響が出る可能性もあるので十分に注意しましょう。
レバレッジのリスク
3つ目のリスクは、レバレッジのリスクです。
FXは、レバレッジを効かせた取引によって自己資金以上の取引ができることが魅力の1つです。
しかし、レバレッジを効かせた取引では、利益が大きくなる一方で損失も大きくなる可能性があるので注意が必要です。
株式投資のような現物取引では、購入に要した費用以上の損失が生じることはありません。
しかし、FXのような証拠金取引では、10万円を入金してそのうち5万円で取引していても損失は5万円の範囲に収まりません。
レバレッジを効かせている以上、10万円の証拠金を全て失う可能性があるので十分に注意しましょう。
ロスカットのリスク
4つ目のリスクは、ロスカットのリスクです。
ロスカットとは、口座に入金した証拠金以上の損失が生じないように、FX業者ごとに決められた基準以上の損失が生じた場合に強制的に決済する仕組みのことです。
この仕組みのおかげで、レバレッジを効かせた取引でも証拠金以上に損失が生じることを防いでくれますが、完璧とは言えません。
急な変動の場合にはロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失が生じる可能性があるほか、ロスカットの水準が高いと無駄な強制決済で資金がなくなる可能性もあるので注意しましょう。
システムトラブルのリスク
5つ目のリスクは、システムトラブルのリスクです。
FXは証券会社などの店頭に足を運んで取引するのではなく、ネット取引に対応しているため、ネット環境さえ整っていれば場所を選ばずに取引できます。
しかし、ネット取引は場所を選ばずにどこでも手軽に取引できる一方、システムトラブルに巻き込まれる可能性があります。
アクセスの増加などの何らかの理由によってサーバーがダウンした場合は、その間に大きな損失を抱えてしまう可能性もあるので注意しましょう。
FXにおける主なリスクヘッジ4選
FXは手軽に取引できる環境が整っている一方、為替変動のリスクや金利変動のリスクなど、数多くのリスクを抱えています。
FXで安定した利益を得るには、それらのリスクに対するリスクヘッジをしっかり練ることが重要です。
FXにおける主なリスクヘッジは以下の4つです。
- ストップロスを設定する
- レバレッジを低めに設定する
- 経済情勢を常に意識する
- リスクを分散する
それぞれのリスクヘッジについて詳しく見ていきましょう。
ストップロスを設定する
1つ目のリスクヘッジは、ストップロスを設定することです。
自分の予想と異なる為替変動が生じているにもかかわらず、損切りをせずにそのまま所有していると、ロスカットで大きな損失が生じてしまう可能性があります。
しかし、ストップロスという指値を設定しておけば、自分の予想と異なる為替変動が生じた場合でもロスカット前に損失を最小限に抑えることが可能です。
また、スワップポイントを狙った取引でポジションを持ち越していても、寝ている間の急な為替変動にも対応できるため、為替変動・ロスカットリスクに対するリスクヘッジになるでしょう。
レバレッジを低めに設定する
2つ目のリスクヘッジは、レバレッジを低めに設定することです。
国内のFX業者で取引する場合は、最大25倍までレバレッジを効かせることが可能ですが、倍率を上げると為替変動リスクが高くなるので注意が必要です。
ロスカットの発動条件を証拠金の50%、1万通貨保有した場合に1ドル100円がいくらでロスカットが発動するかを計算すると以下のようになります。
- レバレッジ25倍:98円
- レバレッジ10倍:95円
- レバレッジ5倍:90円
米中の貿易戦争のように急に円高が進行することによるロスカットのリスクを考えると、レバレッジを低くすることが大きなリスクヘッジになると言えるでしょう。
経済情勢を常に意識する
3つ目のリスクヘッジは、経済情勢を常に意識することです。
豪ドルは、2019年4月に80円を突破してから下落トレンドとなり、1ヶ月で75円に急落しました。
その背景には、金利政策をオーストラリアが見直すことや中国の景気減速が挙げられます。
金利政策の見直しは豪ドルに直接関係がある一方で、中国は豪ドルと直接関係ないようにもみれます。
しかし、オーストラリアの経済は中国との貿易関係に依存しているため、中国の景気減速は豪ドルに大きな影響を及ぼすのです。
このように関係ないように見えても、為替変動に影響を与える要因もあるため、経済情勢を常に意識するといったリスクヘッジをとっておきましょう。
リスクを分散する
4つ目のリスクヘッジは、リスクを分散することです。
1種類の通貨に偏った取引をすると、影響を1点に集中して受ける可能性があります。
しかし、複数の通貨に分散して取引するとリスクを分散できるため、損失を最小限に抑えることが可能です。
また、口座を1つしか開設していないと、システムトラブルが生じた場合のリスクが大きくなりますが、複数口座を開設していれば反対取引を発注することでリスクを抑えられます。
どうすればリスクを分散できるのか考えて、常にリスクヘッジをとっておくことが重要と言えるでしょう。
まとめ
FXは手軽に取引できる環境が整っている一方、為替変動のリスク・金利変動のリスクといった数多くのリスクを伴います。
こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、リスクヘッジをとる必要があります。
リスクヘッジができているかどうかで、得られる利益にも大きな差が生じます。
まずはご紹介したリスクヘッジを必ず行い、取引に臨むようにしましょう。