
株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
2019年の1月3日、「三が日」でゆっくり過ごしている人が多い中で、為替相場に急変動が生じました。
このような急変動はフラッシュクラッシュと呼ばれていますが、なぜ発生して、どうすればフラッシュクラッシュから身を守ることができるのでしょうか?
そこで今回は、FXのフラッシュクラッシュとは何なのか、またフラッシュクラッシュから身を守る方法について解説します。
Contents
FXのフラッシュクラッシュとは?
フラッシュクラッシュという言葉をご存じでしょうか?
フラッシュクラッシュとは、為替相場が急に暴落することです。
それまで安定して変動していたにもかかわらず、相場が急に暴落するため、ロスカットが間に合わず大きな損失を抱えてしまう人が増えます。
2019年1月3日にもフラッシュクラッシュが起きましたが、一般社団法人金融先物取引業協会が6,598件の個人が約8億円のロスカット等未収金が生じたというデータを公表しています。
通常時はロスカットによって証拠金以上の損失が生じることはありませんが、フラッシュクラッシュではロスカットがうまく作動せず証拠金以上の損失が生じることがあります。
それがロスカット等未収金です。
フラッシュクラッシュで生じた証拠金以上の損失は、FX業者に支払わなくてはなりません。
その損失の合計が約8億円であるため、フラッシュクラッシュをきっかけにFXの取引から撤退するという人も多くいます。
フラッシュクラッシュが発生する3つの原因
フラッシュクラッシュはなぜ起きるのでしょうか?フラッシュクラッシュが発生する主な原因として以下の3つが挙げられます。
- ストップロス
- AIによる取引
- 強制ロスカット
それぞれの原因について見ていきましょう。
ストップロス
ストップロスとは、自分の予想とは異なる為替変動が生じても、損失が大きくならないように、あらかじめ設定しておく損切りラインのことです。
1つのストップロスが次のストップロスへとつながり、次々と同方向に決済が重なることで大きな変動を生み出します。
その結果、フラッシュクラッシュにつながると言われています。
AIによる取引
インターネットの普及によってオンライン取引が当たり前になりましたが、最近はAI(人工知能)を活用した自動売買も当たり前になりつつあります。
AIを活用した自動売買は、相場の動きを察知して最適な取引を行ってくれるため、忙しい人でも取引に参加することができます。
しかし、一方向に変動が集中するとAIによる損切りや新しいエントリーが重なり、フラッシュクラッシュにつながると言われています。
強制ロスカット
FXでは、証拠金以上の損失が生じないように、ロスカットと呼ばれる強制決済する仕組みが採用されています。
ロスカットはトレーダーを急な変動による損失から守ってくれますが、あまりにも大きな変動が生じるとロスカットが重なります。
そうなると、ロスカットにロスカットが重なり、結果的にフラッシュクラッシュにつながると言われています。
過去の代表的なフラッシュクラッシュ
フラッシュクラッシュは頻繁に起きるものではありませんが、AIによる取引が増え始めたことでフラッシュクラッシュが起きる可能性が高くなっています。
過去にはどんなフラッシュクラッシュが起きたのでしょうか?
過去の代表的なフラッシュクラッシュについて見ていきましょう。
2019年1月3日
2019年1月3日、日本は三が日と呼ばれる祝日の朝7時で、休まれている人も多くいました。
日本市場は祝日で休みでしたが、シドニー市場は開場していたため、FXの取引は行われていました。
米ドル・円の通貨ペアが1時間で400pips以上暴落しましたが、シドニー市場は取引量が少なく流動性も低かったことがフラッシュクラッシュの起きた原因と言われています。
2015年1月15日
2015年1月15日、日本円と同様、安全資産として有事の際に買われやすいスイスフランが為替介入を辞めるという発言をきっかけに暴落。
スイスが為替介入を継続すると信じて買いポジションを保有していたトレーダーたちは、慌ててポジションを解消したため、フラッシュクラッシュが発生しました。
これによって、ユーロ・スイスフランの通貨ペアは約40%下落しました。
フラッシュクラッシュから身を守る4つの方法
フラッシュクラッシュが起きる原因は1つではなく、ストップロス・AIによる取引・強制ロスカットの3つです。
この3つの原因が複雑に重なることによって、初めてフラッシュクラッシュが起きるので頻繁には起きません。
しかし、頻繁には起きないという理由で対策を何も練らなければ、大きな損失を抱えるため、あらかじめ対策を練っておくことが重要です。
フラッシュクラッシュから身を守る方法は何かあるのでしょうか?
フラッシュクラッシュから身を守る方法は以下の4つです。
- 流動性の低い時に取引しない
- 証拠金維持率を高く保つ
- ストップロスを入れる
- システムが安定しているFX業者を選ぶ
それぞれの方法について見ていきましょう。
流動性の低い時に取引しない
フラッシュクラッシュが起きやすいのは、基本的に流動性が低く板が薄い時です。
そのため、そのような条件の時に取引しなければ、フラッシュクラッシュから身を守ることができます。
例えば、オセアニア市場の時間帯を避ける、大きな市場が休場している日を避けるなどです。
このように流動性を低い時に取引しないまたはポジションを解消していれば、フラッシュクラッシュに巻き込まれるリスクを抑えられるでしょう。
証拠金維持率を高く保つ
証拠金維持率が低い状況での取引は、フラッシュクラッシュに巻き込まれた時に、証拠金以上の損失を抱えるリスクが高くなります。
証拠金維持率を高く保つ方法として、証拠金を多く入れる、一部のポジションを解消するといった方法が挙げられます。
そうしておけば、フラッシュクラッシュが生じても、証拠金を上回る損失が生じるリスクを抑えられるでしょう。
ストップロスを入れる
ストップロスとは、設定した価格に到達した時に強制的にロスカットされるように事前に損切り価格を設定しておくことです。
フラッシュクラッシュでは、ロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失が生じることで、FXから撤退しなければならないケースも珍しくありません。
ストップロスを入れて損失を証拠金の範囲内に抑えれば、再挑戦できるチャンスを残せるでしょう。
システムが安定しているFX業者を選ぶ
システムがあまり強くない業者で取引をしていてフラッシュクラッシュが発生すると、システムがダウンして回復するまで何もできないことがあります。
システムがダウンした場合は、決済だけでなく新規注文もできません。
そうなると、損失が大きくなる、チャンスを逃してしまうことになるため、システムが安定しているFX業者を選ぶことも、フラッシュクラッシュから身を守る方法と言えるでしょう。
まとめ
FXのフラッシュクラッシュは、頻繁に起きるものではありませんが、AIによる自動売買が増えたことによって、以前よりも発生頻度は高くなっています。
機関投資家やヘッジファンドのように相場を動かせる力を持つ人たちは、AIの自動売買の仕組みを悪用して、フラッシュクラッシュを強制的に起こしているとも言われています。
フラッシュクラッシュは、ロスカットが働かず、証拠金以上の損失が生じて場合によっては借金を背負うことになるので注意が必要です。
流動性の低い時に取引しない・証拠金維持率を高く保つなど、事前に対策を練ってから取引しましょう。