株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXの取引をしていて、なぜそのような変動が生じたのかニュースなどで確認してみると、「リスクオン」「リスクオフ」という言葉が目にとまる場合があります。
リスクオンとは、どのような状況を意味していて、為替変動にどのような影響を与えているのでしょうか?
そこで今回は、リスクオンとはどんな意味なのかを分かりやすく解説します。
Contents
FXのリスクオンとは
FXのリスクオンとはどのような意味があるのでしょうか?
リスクオンとは、リスク選好を意味しており、リスクを負って積極的に利益を狙いにいく状況です。
例えば、経済の成長や企業の業績拡大などに対する期待が高まる、地政学的リスクが後退している状況です。
このような状況では、投資家は値上がり益を期待して株式や新興国通貨といった値動きが大きくリスクの高い資産運用方法を選択して積極的に取引します。
その結果、株式や新興国通貨などの価格が大きく上昇します。
ではFXのリスクオフとはどのような意味があるのでしょうか?
FXのリスクオフとは
リスクオフとは、リスクオンとは反対の意味を持っており、リスクをなるべく負わずに資産運用に対して消極的になる状況です。
例えば、経済成長や企業の業績の先行きに対する不安、地政学的リスクなどが高まっている状況です。
実際、2008年にはアメリカでリーマンショックという世界的な経済危機が発生しました。
このような状況では、比較的安全資産である国債などのリスクの低い資産運用方法を選択して取引します。
その結果、株式や新興国通貨といった値動きが大きくリスクが高い資産を手放す人が増えるため、株式や新興国通貨の価格が大きく下落します。
FXのリスクオンで取引する通貨
リスクオンの状況はリスクオフの状況とは異なり、買われる通貨や売られる通貨に違いがあるため、それぞれの状況に合わせた通貨を取引することが安定した利益につながります。
リスクオンの状況ではどのような通貨を取引すればいいのでしょうか?
リスクオンの状況で買われる主な通貨と売られる主な通貨について見ていきましょう。
リスクオンで買われる通貨
リスクオンで買われる主な通貨は以下の7つです。
- オーストラリアドル
- ニュージーランドドル
- イギリスポンド
- カナダドル
- ユーロ
- トルコリラ
- 南アフリカランド
上記の通貨を発行している国は、先進国ではなく発展途上国であることが多く、経済状態が安定していません。
経済が安定していないということは、通貨の価値も安定していないため、リスクオンの状況では積極的に買われて価格が上昇する可能性が高いと言えます。
そのため、リスクオンの状況では上記のような先進国ではなく発展途上国が発行している通貨の買いポジションを持っておけば、安定した利益が期待できるでしょう。
リスクオンで売られる通貨
リスクオンで売られる主な通貨は以下の3つです。
- アメリカドル
- 日本円
- スイスフラン
上記の通貨を発行している国は、経済悪化や金融危機の国の影響を受けにくい通貨である、基軸通貨である、地政学的に関連性の低い(中立国)通貨という特徴があります。
基本的に価格が安定して推移しているため、リスクオンの状況では買われる可能性が低いです。
むしろ上記の通貨は、南アフリカランドやトルコリラなどの発展途上国の通貨が買われる反動で売られる可能性が高くなります。
そのため、リスクオンの状況では上記の通貨の買いポジションではなく売りポジションを持っておけば、安定した利益が期待できるでしょう。
リスクオンの注意点とは
リスクオンの状況では、トルコリラや南アフリカランドといった経済状態が不安定な発展途上国の通貨が買われ、アメリカドルや日本円といった経済悪化の影響を受けにくい国の通貨が売られる傾向があるといいました。
そのため、その通りに取引すれば安定した利益が期待できますが、鵜呑みにして取引すると損をする可能性があるので注意が必要です。
リスクオンの状況では、どんな点に注意して取引すればいいのでしょうか?
リスクオンの主な注意点は以下の4つです。
- 状況によって取引する通貨は変わる
- 逆張りを早めに仕掛けない
- リスクオフの急変動に備えておく
- あくまでも判断材料の1つ
それぞれの注意点について見ていきましょう。
状況によって取引する通貨は変わる
1つ目の注意点は状況によって取引する通貨は変わることです。
例えば、発展途上国で良い経済指標が発表された場合にはリスクオンの状況となるため、南アフリカランドやトルコリラなどの通貨が積極的に買われます。
しかし、アメリカなどの先進国で良い経済指標が発表された場合にもリスクオンの状況となりますが、取引ルールに従って売りポジションで参加すると損をする可能性が高いです。
良い経済指標が発表されると、経済指標が発表された国の通貨が買われる傾向があるため、柔軟に判断しながら取引する必要があるでしょう。
逆張りを早めに仕掛けない
2つ目の注意点は逆張りを早めに仕掛けないことです。
リスクオンの状況になっていても、「そろそろリスクオフになるのでは?」と不安に感じてトレンドとは反対のポジションを保有する逆張りをしたくなる人も多いと思います。
しかし、リスクオンの状況は、短期的なものではなくジリジリと長く続く傾向が強いため、逆張りしたもののトレンド通りの流れが続いて損が大きく膨らむ可能性があるので注意が必要です。
そのため、リスクオンの状況に一度突入したと判断した場合には、すぐに逆張りに転じずにしばらく順張りで取引することが安定した利益につながると言えるでしょう。
リスクオフの急変動に備えておく
3つ目の注意点はリスクオフの急変動に備えておくことです。
リスクオンはジリジリと長く続く傾向が強いと言いましたが、一度リスクオフに転じた場合には一気に変動する傾向が強いので注意が必要です。
リスクオンの状況が明確に続いている場合はポジションを持ち続けても問題ありませんが、リスクオフの状況が少しでも現れ始めた場合はポジションを整理した方が良いと言えます。
利益を確定させることでポジションを少しずつ減らすなど、リスクオフの急変動に備えておきましょう。
あくまでも判断材料の1つ
4つ目の注意点はリスクオンがあくまでも判断材料の1つであるということです。
注意点の1つ目でも触れたように、リスクオンの状況で取引する通貨にはある程度基準がありますが、状況によって取引する通貨は変わることを覚えておく必要があります。
FXの取引をする際にはリスクオン・リスクオフにこだわるだけでなく、各国の経済指標や株価などのファンダメンタルズやテクニカルなども確認することが重要です。
1つの情報を頼りに取引するのではなく、様々な情報源の中から変動を判断することが安定した利益を得る上で必要不可欠と言えるでしょう。
まとめ
中国とアメリカの貿易戦争やイギリスのEU離脱など、リスクオフの状況が続くFX市場。
リスクオフが終わればリスクオンに切り替わります。
リスクオンの状況では、トルコリラや南アフリカランドなどの経済状態や為替変動が不安定な通貨に対して積極的な買いが入る一方で、アメリカドルや日本円などの影響を受けにくい通貨が売られやすくなります。
しかし、リスクオンではこのような状況が必ず起きるというわけではありません。
その時の状況によって取引する通貨は変わることもあることを意識しておくだけでなく、逆張りを早めに仕掛けない・リスクオフの急変動に備えておくといった注意点を押さえながら取引しましょう。